2006年06月27日
前回、前々回とホームシアターを楽しむにあたって重要な要素である、映像・音声の二つに分けて説明しました。今回はそれらの環境で満喫できるお薦めの映画ソフトを紹介しましょう。
無声映画から始まった映画も、モノラル(1ch)、ステレオ(2ch)と音声表現が発展し、次に1970年代にサラウンドが誕生し、よりリアルな臨場感や迫力などを演出できるようになりました。このように映画の音質が向上してきたのには、テレビとの競合関係が背景にあります。
50年代のテレビの登場以前は、映画は常に"大衆の王様"でしたが、その後、テレビと王様の座を巡って、競合関係になりました。映画制作者は何とかして大衆に劇場に観に来てもらうよう、さまざまな工夫を行ってきました。その一つが、画面をテレビでは味わえない、大画面でワイドな構成にしたこと、そしてもう一つがリアチャンネルやセンターチャンネルなどを用いてテレビにはない立体的なサラウンド効果を作り出したことです。
では、映画作品をホームシアターで楽しむためには、どのように考えればよいのでしょう。まずケチらないということです。これまで述べたように映画の制作者は音作りに非常に力を入れており、そのサウンドを忠実に再現するためにも2~3万円程度のサラウンドスピーカーやAVアンプを使うことは避けたほうがいいです。本来は快適に聞こえるはずの効果音が、それらのサラウンドシステムで聴くと耳障りになることがあるからです。
では上記を踏まえて、音の観点から映画ソフトを4点お薦めしましょう。
まず『五線譜のラブレター』。とてもナチュラルな臨場感が楽しめる作品です。数々の名曲を残した天才作曲家コール・ポーターの半生を綴った作品なのですが、その場のざわめきや空気などの雰囲気描写を、日常生活的な、自然なサラウンド効果で表現しています。また作中にボーカルの歌唱シーンや劇場シーンが多く、劇としても音楽としても楽しめる作品です。音質も良いですね。
次に『Mr.&Mrs.スミス』ですが、これは効果音が実にうまく使われている作品です。夫婦が敵対するテロリストという作品で、二人がお互いの素性を知ってしまった時の緊張感が効果音によってよく表現されています。ナイフとフォークの擦れ合う音が、どれくらい刺激的か、これを観ないと語れません。
『ロード・オブ・ザ・リング』はゴージャスなサラウンドを堪能できる作品です。使用されている音数が非常に多く、効果音でも0.1の低音用チャンネルスピーカー(スーパーウーハー)が多用されています。通常、後方のリアチャンネルは終始、音が出ているわけではなく、鳴っても小さめな音の場合がほとんどなのですが、この作品ではリアスピーカーから出る音圧が非常に高く「満腹だ!」と思えるほど、迫力あるサラウンド効果が楽しめる作品なのです。
最後に『オペラ座の怪人』ですが、これは"演出としてのサラウンド"が楽しめる作品です。前回も述べたとおり、セリフは全てセンタースピーカーが発するのが原則ですが、この作品のチャプター8の鏡の中から主人公ファントムが現れるシーンで、センターからは彼の普通の声が流れ、同時にリアスピーカーからも囁きのような歪んだ声を同時に流すことで、よりファントムの不気味さを強調するのに成功しています。作品のメッセージ性が、より高まりますね。『オペラ座の怪人』は原作に忠実なストーリーテリング、ゴージャスな映像美に加え、このミュージカルのコンセプト自体をサラウンド効果で楽しめる作品です。
10年の歴史を持つDVDですが、最近のタイトルは従来に比べて音質が向上し、よりクリアな音が聴けるようになっています。映像や物語の内容だけでなく、サラウンド効果を楽しむというのも、今の時代のエンターテイメントの楽しみ方ですね。





