2007年09月04日
7月から8月にかけ、薄型テレビの新製品が各メーカーから発表されました。家電という括りの中でも、テレビに関しては必ず「新しいもののほうが良いもの」といえる商品です。今回の発表でも、究極の画質と言われるアナログのブラウン管テレビのクオリティに近づくために、各社さまざまな努力をしています。各特徴についてご説明しましょう。
■動きのある映像への対策【液晶】
液晶テレビが、動きの早い動画像に対して「残像感」を残してしまうというのは、これまでにもお伝えしてきたことですが、今回もこれに対して全メーカーが技術対応してきました。中でも「倍速表示」という技術は明らかな改善が実現していて、特筆すべきものです。
「倍速表示」を説明すると、放送局から送られてくる、1秒間に60枚という画像を倍の120枚に増やして表示するというものです。例えば、パラパラマンガで、絵の枚数を増やせば、動いているように見える絵が滑らかになることを考えれば分かりやすいでしょう。
ただし、一言で「倍速表示」と言っても、各社の実現方法が違います。単純に「1枚目と2枚目の間に二つを足した映像を挟みこむ」というメーカーもあれば、そこに独自技術で「より滑らかになる工夫」をしているところもありますので、その出来映えは店頭で見比べてから決めると良いでしょう。特に横に流れるテロップなどの映像を視聴すると、「倍速表示」のものとそうでないものの違いが良く分かります。
なお、この「倍速表示」は、テレビ放送にとどまらず、自宅で再生するDVDなどのパッケージメディアでも効果があります。
■大型化【液晶・プラズマ】
大型化のトレンドも、引き続き進んでいます。液晶テレビが32型から37型以上にシフトしているように、プラズマも47型から50型の充実を目指してシフトしています。
単純に大型製品の機能を充実させるということだけにとどまらず、例えば画面の周りのフレーム幅を従来製品より小さくし、その分画面を大きくすることで、同じ設置スペースでも、より大型のサイズが置けるようにするなど、工夫しています。
50型に近くになると、ようやくフルHD画質のメリットが生きてきますね。
■黒の表現に新境地
パイオニアから「KURO」というシリーズが発表されたのですが、この「KURO」はコントラスト比が20,000対1という、今までと全く違った「黒の表現力」を持っています。他のプラズマテレビが7,000~10,000対1であるという数字だけを見ても、圧倒的な差が分かります。
また従来から、パネルの表面加工の特長によって、液晶テレビは映り込みがなく、プラズマは映り込みがあるという特徴がありましたが、これを相互に逆転させるトレンドも出てきています。例えば三菱電機のMZWシリーズは、パネルの表面に光沢感を持たせることにより、液晶にしながら「黒」の表現力を高めています。これによって液晶テレビでも映り込みの問題が出るようになりました。逆に松下電器は「低反射クリアパネル」を採用し、プラズマでありながら映り込みを防ぐ工夫を採用しました。確かに部屋の照明の悪影響は少なくなりましたね。
映り込みは、慣れてしまえば気にならないという言い方もできます。黒の表現力に重きを置く方は、併せてご検討ください。
■大手4社で見る、進化の違い【液晶】
今年の春の液晶テレビ市場は、東芝とビクターの躍進が目覚しかったのですが、今回の製品ではどうだったのでしょうか。順に見ていきましょう。
東芝は液晶テレビの中でも、階調再現が秀逸です。質感を増幅する映像回路が優れており、C3500シリーズでは豊かな表現力が楽しめます。
ビクターは「47型」「フルHD」「IPS液晶(視野角拡大)」「倍速表示」のバランスがよく、トータルで完成度が高いですね。
ソニーはもとより得意としていた精細感が増したことと、フルHDで倍速表示に対応したことが大きな特徴でしょう。全体的な画質が改善されているのも注目です。
シャープは堅実な画質向上を果たしています。10万対1のコントラスト比が、研究段階ではあるものの実現できた発表や、液晶パネルの厚さを従来の4分の1である2cmにすることに成功した発表など、相変わらずの技術力の高さを見せつけています。
■全く新しいテレビたちの動向
過去に話題になった新技術や、未来のテレビについても触れておきましょう。
・SED
米国で起きている訴訟問題が、まだ解決しておらず、各社の研究開発も新しいニュースなどはありません。訴訟問題が解決すると思われる来年以降に、少しずつニュースが入ってくるでしょう。
・有機EL
シンプルな発光体を用いた、消費電力の削減とコントラスト比の高さに定評がある有機ELですが、年内にソニーから11型の実用民生機が発売される予定です。パネルの寿命の短さが従来の3倍ほど長くなり、液晶テレビやプラズマテレビと同等まで伸びたことが、特筆すべき事柄です。今後3年のうちには、大きな家庭用テレビが商品化されるかも知れません。
・FED
一度は有機ELとの兼ね合いでソニーでの開発が止まったFEDですが、ここにきてまた動き出しています。まだまだ民生機としての商品化は先の話になりそうですが、引き続き注目していたいパネルです。
■次世代放送規格について
放送規格についても触れておきましょう。まだデジタル放送に移行する期間の最中ではありますが、これまでのテレビの歴史を振り返ると、次の20数年のうちには次の放送規格が現実のものとなりそうです。「スーパーハイビジョン」と呼ばれているその技術は、NHK放送技術研究所が研究しているものですが、1950年のモノクロテレビ放送の登場から、カラーテレビ放送、ハイビジョン放送と来て、次なる放送規格として注目したいところです。
■おわりに
いよいよフルHDのラインナップが揃い、製品も充実してきました。初期に薄型テレビを購入された方々が、買い換えの検討を始めるころということもあり、製品がこなれてきている印象です。ぜひ満足する一台を見つけてみてはいかがでしょうか。
2007年07月11日
■ハイビジョンビデオカメラの台頭
ビデオカメラの市場はここ数年で大きな変遷を迎え、これまではSD画質の製品が主だったのが、ここにきて急激にハイビジョン画質の製品へと変わり始めています。都内の大手家電量販店では、多い時には1日のビデオカメラの売り上げのうち、ハイビジョン画質の製品が6割を占めるとのことです。名実ともにハイビジョン時代に移行しつつあるということがいえるのではないでしょうか。
■ビデオカメラの選び方 第一段階
そういった背景を踏まえ、ビデオカメラの選び方の第一段階としては、やはりハイビジョン画質のカメラをオススメします。SD画質のカメラは安く買えるのですが、ハイビジョンカメラの価格も10万円代前半ぐらいまで下がってきています。例えばカメラの用途として、今子供の成長記録を撮っておいて将来プレゼントしようとか、その映像を結婚式の時に流そうとかいったようなことを考えたとき、SD画質のものでは全然物足りなくなると思います。というのも、20年後は「ハイビジョンでなければテレビじゃない」という時代になっています。SD画質の映像は、ブラウン管テレビで見るのであれば十分なのですが、ハイビジョンテレビのように画素数の多いもので見ると、全体的にぼやけて映ってしまいます。
このように、テレビがハイビジョンになり、更にテレビで映すもののほとんどがハイビジョンに移行する、というのが現在の大きな流れです。DVDが次世代DVDに移行することなどは、その端的な例です。ハイビジョンカメラが大きくて使いにくいとか、高価で手が届かないということならば話は別ですが、今のハイビジョンカメラは扱いやすく価格もこなれて来ていますから、ハイビジョンカメラを選ぶ機運が高まっていると思いますね。
■ビデオカメラの選び方 第二段階
第二段階として、記録方式が挙げられます。ハイビジョン画質には記録方式が3つあります。①DVテープである「HDV」、②直径8cmのDVDやハードディスクを使用する「AVCHD」、③同じくハードディスクを使用しますが「AVCHD」ではない、ビクター独自の記録方式です。どの記録方式を選べばよいのでしょうか。順に詳しく見ていきましょう。
・HDV
HDVは従来のDVテープをそのまま使って、そのままの時間をとることができます。例えばSD画質用に買った60分テープを、そのままハイビジョン画質で60分撮影可能ということです。
DVテープは25Mbpsという豊富なビットレートを有し、従来はそれをフルに使ってSD画質を記録していました。それを世界標準のMPEG2に高密度圧縮することで、ハイビジョンの撮影を可能としたのです。一昨年、ソニーが「HDR-HC1」という商品を発表して大ヒットし、キヤノンが後に続きました。現在、HDVを採用しているのは、この2社のみです。
・AVCHD
AVCHDは、HDVがMPEG2を使っていたのに対して、それの後継技術であるMPEG4AVCを採用しています。AVCは最近いろいろなところで採用されてきています。例えばワンセグ、次世代DVDなどが、その代表です。なぜAVCという規格が出てきたかというと、ハードディスクやDVDなどのデジタルディスクが人気を博している背景があるからです。デジタルディスクは、テープと違って頭出しができ、上書きされることが無く、編集もしやすく、かつ長時間の記録が可能です。DVDレコーダーに始まった移行の潮流が、ビデオカメラにも訪れているのです。
・ビクター独自方式
ビクターは初めてフルハイビジョンのビデオカメラを製品化しました。それまでのハイビジョンビデオカメラの横方向の画素数が1440であったのに対し、1920というフルハイビジョンで記録できるようになったことと、AVCHDと同様、ノンリニアメディアであることは大きな利点です。
フルハイビジョンはBS日テレ、NHKのBSハイビジョンと同等の最高画質なので、これ以上ない映像が撮れます。撮ったものの編集は、パソコンを使用する方法と、オプションのDVDドライブを使う方法があります。このDVDドライブでは、DVDに書き込むことができますが、書き込んだものはDVDの信号ではないので、DVDプレーヤーなどでの再生はできません。但し、撮るときにHDV互換モードを使用すれば、Blu-rayレコーダーを使用してBlu-rayディスクに書き込めるため、次世代DVDプレーヤーであれば再生できるディスクを作成することができます。なお最近では、AVCHDでもフルハイビジョン対応のムービーが出てきました。
■ビデオカメラの選び方 第三段階
第三段階として、記録メディアについて触れなければなりません。これまでも若干触れてきたように、各メディアには長所と短所があります。使用する環境や自分にあった撮影スタイルによって、記録メディアを選ぶことは非常に重要です。
・HDV(テープ)
頭出しができないことが、最大のデメリットです。その反面、単価が安いこと、コンビニエンスストアなどでも売っているため手軽に手に入ること、いまのところAVCHDよりも画質がいいこと、記録方式のMPEG2ができてから十数年の歴史があり、対応機器の多さや編集環境が柔軟であるなど、扱いやすくなっていることがメリットです。
・AVCHD(半導体メモリー、ハードディスク、DVDメディア)
頭出しができ、編集、消去が簡単に行なえます。撮ってすぐ、その場で見せたいものを見せられる。撮ることより見ることに楽しさがあります。但しAVCHDはまだ1年ぐらいの歴史しかないので、対応機器が少ないほか編集環境の融通が利きません。性能は優れているが、まだ100%発揮できていない印象です。画質については、些細な違いですが、MPEG2に比べるとおっとりとして、淡い感じがあるようですね。
・ビクター方式(ハードディスク)
AVCHDと同じように、頭出し、編集、消去の手軽さがメリットです。デメリットは前述したとおり、書き出し・保存に難があるという点でしょうか。ただし画質は良いので、多少デメリットを押しても選ぶ価値はあるでしょう。
以上のように種類がありますが、まとめますと、
・テープの入手のしやすさ、
・テープの画質のよさ
・AVCHDの先進さ
・頭だしができる
といった点を考慮して選ぶと良いでしょう。
■オススメの商品
・キヤノン iVIS HV20
持ちやすさ、使いやすさ、保存など、トータルで考えると最も良い商品です。くっきりとした力強い、鮮明で色が鮮やかなハイビジョンらしい映像が撮れ、レンズも優れているので画質は申し分ないでしょう。スイッチの位置は、安定した撮影に繋がるので重要です。スイッチの場所が悪いとブレに繋がりますが、この商品においては、その心配はないです。
・ソニー HDR-UX7
UX5とUX7があり、前者は400万画素で後者は600万画素です。どちらもビデオカメラにしては画素が多いレベルですが、UX7の画質が圧倒的に良いです。しっかりとしたノイズの少ない映像が撮れます。またx.v.Colorという微量空間を拡張するモードがついており、オン・オフを選べるのですが、オンにした映像は普通のテレビでも問題なく表示でき、かつオンにしたほうがコントラスト感や鮮明感が上がるのでオススメです。
x.v.Colorに標準対応したテレビは、三菱とソニーから出ています。色の鮮やかさが違いますので、色にこだわった画質を求める方にオススメします。
・ソニー HDR-HC7
HDVフォーマットの良さが非常によくでている一品です。MPEG2による力強い画質が特長です。画質でだけで見ればHDR-UXよりもこちらのほうが上でしょう。ただし記録メディアがDVテープですので、そこを重視するのであればHDR-UX7が良いのではないでしょうか。
・パナソニック HDC-SD3
AVCHDでSDカードに記録する商品です。ビクターに続く第2のフルハイビジョン対応商品で、4GBのSDHCカードに約40分の録画が可能です。ハードディスクやテープメディアを駆動させるための機械部分がないので、非常に軽くて小さいことが特長です。更に機械部分が無いため、モーターノイズの心配が要らず、音がいいのも特長。ドルビーデジタルの5.1ch録音ができるのは、全てのビデオカメラの中でこの機種だけです。
映像はきめが細かい印象です。AVCHDにはいろいろなモードがあるのですが、この商品ではハイプロファイルを用いています。ハイプロファイルはBD-ROM用のコーデックを開発したときに松下が開発したもので、大画面で見たときに、より精細な画像が出ることが特長です。前の製品であるSD1でも採用されていましたが、SD1は横方向の画素が1440と狭かったため、真価を発揮できていませんでした。SD3はフルハイビジョンですので、ハイプロファイルとの相性が良いです。新しいもの好きの方にもオススメします。
・ビクター Everio GZ-HD7
ハードディスクを60GB搭載し、非常に長時間撮影できることが特長です。ビクターにはビデオの伝統があり、VHSのときから評価の高い商品を市場に送り出してきました。フルハイビジョンを初めて製品化したということで、とにかく映像が素晴らしいです。しっかりとした黒が出て、白の輝きもよく、色もリッチに出てくれます。
本体が、やや大振りなのが気になりますが、ホールディングは良く、安定しています。レンズも多くの放送局用ハイビジョンカメラに使われているFUJINONレンズを使用しており、フルハイビジョンを生かしています。
このビデオカメラは特に画質にこだわりがある人、また50インチ以上のフルハイビジョンのテレビを持っている人にオススメしたいですね。
2007年03月20日
■薄型テレビは、何が変わったのか
一昨年から始まり、今なお続く薄型テレビの活況ですが、毎年センセーショナルなニュースが幾つも報道されるため、自分にピッタリなテレビはおろか、今販売されているテレビ自体が、どのようなものかすら分かりにくくなっているのではないでしょうか。今回は薄型テレビの概況を知ると共に、「今後どういった方向にテレビが向かい、流行が移っていくのか」という点に触れたいと思います。
■最適な画面サイズとは
ハイビジョンという新しい放送はNHK放送技術研究所が開発しました。同研究所の研究結果によれば、「日本における一般家庭でのハイビジョンを観るテレビの最適サイズは53.5インチ」ということです。これは、一般的な家庭のテレビに対する視聴距離が2mであったこと、ハイビジョンの臨場感を感じる人間の視野角が30度であったことから算出された値です。つまり、現在放送中である「BSハイビジョン」や「WOWOW」、「地上デジタル放送」は、53.5インチのテレビで視聴することを前提に制作されているということですね。それが「ハイビジョンの視聴原則」ということです。旧来のブラウン管テレビでは、重さの問題で実用的でなかった36インチ以上の画面が、液晶テレビやプラズマテレビの登場によって簡単に実現できるようになったため、このサイズが実用できました。ですから、いま、50インチ台のハイビジョンテレビが売れているのは、理論が実践されている過程なのですね。
■テレビ受像機より先に、放送がある
このような理論上のガイドラインに従って放送を制作することには、大きな理由があります。視界の大部分を占める映像が激しく揺れたりするものであると、視聴している人の目に強い刺激を与えかねないからです。大画面で視聴することを前提としたハイビジョン放送、特にBSデジタル放送でも103チャンネルのNHK・BShiは、カメラの動きや映像の撮り方について細心の注意を払い、制作されています。ですから、ハイビジョンとは何かを勉強するにはNHK・BShiを観るといいですね。
■流行の移り変わりと、明確な違い
「液晶は小型向き」と言われてきましたが、今や主流は30インチ台になり、32型、37型の液晶テレビは価格競争が激しくなっています。その結果の急速な価格低下を受け、消費動向も32型から37型へ移り変わろうとしています。42型が主流だったプラズマも50型へと向かう動きが強いです。それに併せて、「フルHD」をラインナップに加える動きが強く、液晶では37型はすべてに「フルHD」化を完了しています。32型では現在「フルHD」のモデルはシャープ一機ですが、これから増えるでしょう。小さなサイズの「フルHD」は開発が難しいです。それと、ユーザーにとってその御利益がいつも享受できるものでもありません。何より画素の縮小化に技術を要しますね。
さきほどのハイビジョンの原理かにして理想の臨場感を体感できるのは50型以上ですので、フルHDの高精細の映像を充分に堪能するためにも、50型以上の薄型テレビを選ぶことをお薦めします。具体的に商品を紹介しながら、解説をしていきましょう。
■液晶の、さらに磨きがかかった弱点の補強
古くから液晶の「三大欠点」と言われていた「視野角の狭さ」「残像感」「コントラストの薄さ」は、日進月歩で軽減されています。例えばビクターの「EXE LT-42LH800」は、画面を「1秒間に60枚」見せていた旧来機に対し、「1秒間に120枚」見せるように改良し、「残像感」が軽減されるように改良を加えた商品です。
東芝の「REGZA 47Z1000」は、液晶が本来持つコントラスト表現をうまく活かし、しなやかで柔らかい映像を映し出すことができます。視野角を大きく広げるIPS液晶を採用しています。
シャープの「AQUOS LC-52RW1X」は、残る課題だった「コントラストの薄さ」を対策し、2000:1であったものを3000:1としました。ソニーの「BRAVIA KDL-46X2500」も、ハイコントラストであるのに色の鮮やかさが自然な映像を映し出すことができます。
■各液晶メーカーの大きな違いとは
液晶テレビを製造しているメーカーには、2つの種類があります。シャープのAQUOSのように、液晶パネルとそれ以外の部分を全て自社で開発し、組み立てているメーカーと、ソニーや東芝、ビクターのように、液晶パネルを他社から買い、それ以外の部分と組み立てを自社で行なっているメーカーがあります。それぞれ「垂直統合型」、「水平分割型」と言いますが、前者は総合的な質を高める代わりに高価に、後者は総合的な質を平均的にする代わりに廉価になる傾向があります。勿論、同じメーカー内で高級モデルや普及モデルという違いがありますので一概には言えないのですが、商品を選ぶ際にはそうした点に注目しましょう。
■高精細化が進むプラズマ
前回の薄型テレビの記事中で「液晶」と「プラズマ」の違いに触れましたが、主な用途によって得意な映像表現が違うことは現段階でも変わっていません。プラズマは、深みのある表現力を生かして、DVDなどのパッケージ商品を鑑賞するのに向くという強みと、最近では「フルHD」に対応した高精細さが目立ってきています。
松下の「VIERA TH-65PZ600」は、もともとハイコントラストだったのに加えて精細さ、色の再現性が高まり、立体感や臨場感が伝わる映像を堪能できるようになっています。このモデルを含め、昨夏に発表され、世界中から賞賛を得た103/65/58/50型の4機種の出来は特に素晴らしく、103型はフルHDでは足りないぐらいの大きさですが、他3つは映画でもスポーツでも一般テレビ番組でも楽しめるフルハイビジョンモデルです。
全薄型テレビの中で最高画質が、パイオニアの「ピュアビジョン PDP-5000EX」でしょう。今までブラウン管以上の質感を表現する薄型テレビはなかったのですが、これは「映像が濡れている」と言えるぐらい、オブジェクトの質を精細に表現します。ある種、薄型テレビが越えられなかった壁を乗り越えたともいえるモデルです。
■番外編 リアプロジェクションテレビ
番外編としてリアプロジェクションテレビのオススメモデルも紹介しましょう。液晶やプラズマに比べると画質面がおぼつかないリアプロですが、ソニーの「BRAVIA KDS-60A2500」はリアプロとは思えないほど画質が素晴らしく、コントラストがあって艶のある、人の目に優しい映像を表現します。特に映画はとてもしっとりとした描写です。以前、同社から発売されていたQUALIAのリアプロジェクターは大変高価でしたが、Aシリーズは一般的な価格で手に入れやすいモデルになっています。QUALIAにとって代わるモデルと言ってもよいでしょう。
多くの商品が登場したことで消費者の選択肢が格段に広がり、商品を選ぶにも迷いやすくなりました。上手な選び方をすれば、ブラウン管以上に自分に合ったテレビを見つけることができます。ぜひ、楽しいテレビライフをご堪能ください。
2006年10月16日
今回は耳元にこだわり、ヘッドホンについてお話いたします。大昔は本格的で大型の密閉型ヘッドホンが中心でしたが、1980年代に誕生したソニーのウォークマンにより、"音楽を外で聴く"というスタイルが確立し、音楽と外の景色の一体感を楽しめるようになりました。さらにiPodが大ヒットしたことで、今日では軽量でカジュアルなものが多く出回っています。今回はヘッドホンの正しい選び方とオススメのヘッドホンを紹介しましょう。
■良いヘッドホンを選ぶためのポイント
まずは良いヘッドホンを選ぶためのポイントです。
・製品付属のヘッドホンを使い続けない
ウォークマンなどの携帯音楽端末で音楽を聴く時、製品に付属していたヘッドホンを使われている方が多いと思いますが、付属ヘッドホンは必ずしも機器によく合った最高の音質であると言えません。どちらかと言うといまひとつのものが多いですね。自分に合ったヘッドホンを選ぶために、まず一定期間は付属のヘッドホンで音を聴いてみて、自分の音の好みがはっきりしてきたら、良いヘッドホンを手に入れることを検討してみましょう。
・実際に店頭で試聴してみる
前回の「新世代コンポ」と同じように、ヘッドホンも音のバランスや音質に注意して選ぶことが大切です。その最も簡単な方法として、実際に店頭で試聴してみるといいでしょう。視聴するときは低音・中音・高音それぞれがバランスよく聞こえ、芯がしっかりした音に聞こえるかどうかに注意してみましょう。音の芯がふわふわして弱いものは避けるべきですね。そんな中で自分好みの音が、心地よく聞こえるものを選びましょう。携帯音楽端末用のヘッドホンを探したい場合は、自分の持っているプレーヤーを持って行き、ヘッドホンを直接つないで聴いてみるのがベストです。
・自分の聴き方に応じて、方式を選ぶ
ヘッドホンにはオープンエア型、密閉型(クローズド型)、カナル型などさまざまな方式のものがありますが、密閉型とオープンエア型の2つが基本です。密閉型は音にこだわって作られているものが多いですが、外の音が聞こえづらいという難点がありますので、外の音も楽しみつつ開放感を感じながら音を聴きたい場合は、オープンエア型のほうがいいでしょう。実際に聴き比べてみて、音の聞こえ具合の違いを確かめてみましょう。
・自分の耳や髪型に合うものを選ぶ
耳掛け式の場合、自分の耳にフィットしてずり落ちず、あまり重くないものを選びましょう。またヘッドバンドが髪の毛に密着するタイプの場合は、髪型に合うかどうかも重要なポイントです。
■消音ヘッドホンを選ぶ時の注意点
最近では周囲の雑音を消して、再生する音だけを明瞭に聴くことができる消音ヘッドホンというものがあります。ただ単純に音楽を聴くだけでなく、飛行機に乗っている時に周囲の騒音を消すということを目的とする方もいますね。消音ヘッドホンの場合も、他のヘッドホンと同じように、まず消音機能を使わない場合の音質をチェックしましょう。良いものは音のバランスが良く、気持ちよく伸びる音です。消音効果は音を聴いている時の効果と、音を聴いていない時の効果の2パターンがありますので、両方のパターンで試聴してみましょう。
消音ヘッドホンで注意しなければならないのは、マスキング効果を用いたヘッドホンです。格安な製品でよく見かけるのですが、実際は外の音を消しておらず、音を大きく聞かせ、マスキング効果で、外の音を聞こえにくくするというものです。消音効果にこだわるなら、アクティブに音を消すタイプを選びましょう。
■私がオススメするヘッドホン
では、私が勧めたいヘッドホンを5点紹介します。
1つ目はすべての音がはっきりくっきり聞こえるソニーの「MDR-EX90SL」です。これは音のプロ用に開発されたもので、解像度が高く非常にクリアな音で、細かい音まではっきり聴くことができます。圧縮音楽のような劣化した音でも音質向上効果もあるので、良く聞こえます。非常に軽くて耳とのフィット感も良く、ソニーがこだわりを持って開発したことがうかがえる商品です。
2つ目は音の爽やかさや心地よさがクリアに聞こえるオーディオテクニカの「ATH-EC700 Ti」です。ヘッドホンの専門メーカーと言ってもよいほど、優れたヘッドホンを開発しているオーディオテクニカですが、これは周波数特性が広く、すっきりとノイズが少なくクリアでワイドな音が楽しめる製品です。高解像度で、音の切れ味、弾力感が抜群です。ここまで素晴らしい音はスピーカーでもなかなか聴けません。
消音ヘッドホンもオススメしましょう。3つ目はドイツのヘッドホン専門メーカー・アーカーゲーの「ノイズキャンセリングヘッドフォン K28NC」です。これは音のクリアさ、厚み、スピードなど基本的な音がオーディオ的な観点で聴くと抜群に良いものです。肝心の消音効果も優れており、変にノイズを除去したような感じもないので、自然です。全体的に性能の良いヘッドホンです。
4つ目は同じく消音ヘッドホンの、BOSE「Quiet Comfort 3」です。消音ヘッドホンの代表製品として大ヒットした前シリーズ「Quiet Comfort 2」より軽く小さくなり、また前製品は密着型でしたが、オープンエア型のものになりました。「消音ヘッドホンといえばBOSE」と言われるぐらい消音効果が高く、音質もBOSEならではのしっかりとしたツヤのある音を聴くことができます。
最後に本格的にヘッドホンの音質を楽しんでみたいという方にオススメなのが、オーディオテクニカの「ATH-W5000」です。少し値が張りますが、「中途半端なスピーカーやアンプはいらない!」と思うほど、素晴らしい音質が楽しめます。ヘッドホンでは再現しにくいクラシックの厚みや質感を再現できる、落ち着いたたたずまいを聴かせる製品です。(なお、このヘッドホンには消音機能がありません。)
お持ちのプレーヤーや好みの曲をよりよく聴くために、ヘッドホンにこだわりましょう。
2006年08月09日
前回の【ホームシアターを楽しもう~DVDソフト編】で、スピーカーやAVアンプを選ぶときの注意点について、軽く触れました。今回は「新世代ミニコン」、「新世代ステレオ」と呼ばれる新しいステレオコンポを選ぶときのポイントと、ステレオコンポの今後についてお話します。
ステレオコンポの成り立ちについてですが、旧来、オーディオマニアの間では、音を聴くためには各ステレオコンポーネント機器を組み合わせて聴くことが憧れであり、理想でした。「ステレオコンポーネント」とは、音を聴くためのアンプ、スピーカー、プレーヤーなどの各機器を指す言葉で、昔は「アンプと言えばA社」、「スピーカーと言えばB社」、「プレーヤーと言えばC社」といったように、メーカーによって得意な分野があったのですね。それらを組み合わせるのがマニアの中での「オーディオ道」だったわけです。
マニアは「選択することが楽しい」からいいのですが、初心者にとっては実際に「どれを組み合わせればいいのか?」、「何を買えばいいのか?」がわかりづらく、面倒でした。そこで、プレーヤーからスピーカーまでのすべてのステレオコンポーネント機器を1社でトータルデザインし、まとめて提供してしまおうという発想で誕生したのが、ステレオコンポーネントを組み合わせた(システム化させた)「システムステレオコンポーネント」、略して「シスコン」というものでした。
発売当初の「シスコン」は、サイズが大きかったので扱いにくいのが難点でした。その後、若者の個室に合うように、サイズをコンパクトにした「ミニコン」が開発され、さらには卓上型ラジカセぐらいの小さなサイズにした「ウルトラミニコン」という製品が販売された時代もありましたが、「アンプ部」と「プレーヤー部」は電気基盤の縮小を図ることで小さくできる一方、「スピーカー部」だけは、小さくしてしまうと音質が落ちてしまうため、結果的には、机や棚の上に乗せることができ、あまり場所をとらずに良い音が聴けるサイズに落ち着きました。これらを踏まえた上で、新世代ミニコン、新世代ステレオの話をしていきましょう。
パナソニック、ソニー、ビクターなど、現在、各社からさまざまな新世代ミニコンが発売されていますが、本体にハードディスクが内蔵されていることと、インターネット対応だという共通点があります。CDに格納された楽曲やダウンロードした楽曲をハードディスクに保存でき、そのまま聴くことも、SDカードやメモリースティックなどといったメディアに転送して、外に持ち出して聴くこともできます。このように新世代ミニコンは、携帯音楽端末と連携したことで、その場で聴くだけでなく、音楽を外で聴くための利便性が備わっています。
では、そんな新世代ミニコンを選ぶポイントを3つ紹介しましょう。
1つ目は何と言っても音質です。デジタル音楽の時代になってから、デジタルによる利便性ばかりが重要視され、音質は軽視されがちです。頻繁に買い換えるものなのではないので、音はとても大切ですね。ポイントは、耳で聞いて不自然ではないか。長時間聴いても疲れないかということです。一番いい方法は、できれば自分の好きなCDを店に持って行き、実際に聴いてみることです。「聴き慣れたCDの音質は良いか?」「圧縮された音が綺麗に聞こえるか?」を確かめましょう。良いステレオコンポは音が痩せておらず、肉付きがしっかりとして、耳に心地よく聴こえます。
2つ目のポイントは操作性です。ステレオコンポ本体の操作性がきわめて悪いということはあり得ないと思いますが、リモコンは各社違ったレイアウトになっているので、使いやすいものを選ぶように注意しましょう。ペアになる携帯端末のつかいやすさも大事ですね。
そして3つ目にデザインです。デザインと操作性は深く関係します。デザインの好みは人それぞれですが、ステレオコンポは長年使うものですから、あまり奇をてらったデザインを選ぶのではなく、オーソドックスなデザインのものを選ぶようにしましょう。
アップル・コンピュータはiPodにより、従来のAV文化を変化させ、パソコン中心の新しい文化を提案しました。従来までのように、ステレオコンポの前に鎮座して聴いたり、カセットやMDなどにステレオコンポで録音し、外に持ち出したりして聴くといった方法に加え、音楽をインターネットからダウンロードしたり、曲名や作曲者の情報を自動でつけてくれるなど、音楽の楽しみ方が変わってきました。
今回説明した新世代ミニコンは、パソコンで音楽を楽しむような世界を取り入れたような形で、今までのステレオコンポとはコンセプトが違っていますね。今後は、ステレオコンポの世界はどのような形になっていくのでしょうか。 パソコンさえあれば、ステレオコンポは要らないのでしょうか。
私の考えとしては、パソコンでステレオコンポの世界を代用することは決してできないと思います。やはり音質を考えると、パソコンよりステレオコンポの方がはるかにすぐれています。パソコンにつなげるアンプ内蔵スピーカーよりステレオコンポの方が、はるかに音が良いからです。パソコンは、音をきちんと聴くには向かない機器ですが、新世代ミニコンにはない利便性・操作性があります。例えばダウンロード、音楽編集などは、パソコンが得意とするところです。音質を楽しむならステレオコンポ、利便性を追求するならパソコンといったように、目的に応じて使い分ける方法が、今後の音楽の楽しみ方になるのではないでしょうか。
2006年06月27日
前回、前々回とホームシアターを楽しむにあたって重要な要素である、映像・音声の二つに分けて説明しました。今回はそれらの環境で満喫できるお薦めの映画ソフトを紹介しましょう。
無声映画から始まった映画も、モノラル(1ch)、ステレオ(2ch)と音声表現が発展し、次に1970年代にサラウンドが誕生し、よりリアルな臨場感や迫力などを演出できるようになりました。このように映画の音質が向上してきたのには、テレビとの競合関係が背景にあります。
50年代のテレビの登場以前は、映画は常に"大衆の王様"でしたが、その後、テレビと王様の座を巡って、競合関係になりました。映画制作者は何とかして大衆に劇場に観に来てもらうよう、さまざまな工夫を行ってきました。その一つが、画面をテレビでは味わえない、大画面でワイドな構成にしたこと、そしてもう一つがリアチャンネルやセンターチャンネルなどを用いてテレビにはない立体的なサラウンド効果を作り出したことです。
では、映画作品をホームシアターで楽しむためには、どのように考えればよいのでしょう。まずケチらないということです。これまで述べたように映画の制作者は音作りに非常に力を入れており、そのサウンドを忠実に再現するためにも2~3万円程度のサラウンドスピーカーやAVアンプを使うことは避けたほうがいいです。本来は快適に聞こえるはずの効果音が、それらのサラウンドシステムで聴くと耳障りになることがあるからです。
では上記を踏まえて、音の観点から映画ソフトを4点お薦めしましょう。
まず『五線譜のラブレター』。とてもナチュラルな臨場感が楽しめる作品です。数々の名曲を残した天才作曲家コール・ポーターの半生を綴った作品なのですが、その場のざわめきや空気などの雰囲気描写を、日常生活的な、自然なサラウンド効果で表現しています。また作中にボーカルの歌唱シーンや劇場シーンが多く、劇としても音楽としても楽しめる作品です。音質も良いですね。
次に『Mr.&Mrs.スミス』ですが、これは効果音が実にうまく使われている作品です。夫婦が敵対するテロリストという作品で、二人がお互いの素性を知ってしまった時の緊張感が効果音によってよく表現されています。ナイフとフォークの擦れ合う音が、どれくらい刺激的か、これを観ないと語れません。
『ロード・オブ・ザ・リング』はゴージャスなサラウンドを堪能できる作品です。使用されている音数が非常に多く、効果音でも0.1の低音用チャンネルスピーカー(スーパーウーハー)が多用されています。通常、後方のリアチャンネルは終始、音が出ているわけではなく、鳴っても小さめな音の場合がほとんどなのですが、この作品ではリアスピーカーから出る音圧が非常に高く「満腹だ!」と思えるほど、迫力あるサラウンド効果が楽しめる作品なのです。
最後に『オペラ座の怪人』ですが、これは"演出としてのサラウンド"が楽しめる作品です。前回も述べたとおり、セリフは全てセンタースピーカーが発するのが原則ですが、この作品のチャプター8の鏡の中から主人公ファントムが現れるシーンで、センターからは彼の普通の声が流れ、同時にリアスピーカーからも囁きのような歪んだ声を同時に流すことで、よりファントムの不気味さを強調するのに成功しています。作品のメッセージ性が、より高まりますね。『オペラ座の怪人』は原作に忠実なストーリーテリング、ゴージャスな映像美に加え、このミュージカルのコンセプト自体をサラウンド効果で楽しめる作品です。
10年の歴史を持つDVDですが、最近のタイトルは従来に比べて音質が向上し、よりクリアな音が聴けるようになっています。映像や物語の内容だけでなく、サラウンド効果を楽しむというのも、今の時代のエンターテイメントの楽しみ方ですね。


































